デジタル時代に入りアプリの普及によって写真の加工が当たり前の感覚になった現在、写真イメージが現実そのままを写すといった素朴な写真観は共有されなくなり、写真は写すから創るに変化してきた。

 

写真は元来、光が感光性を持たせたものに化学反応しイメージを作り出す。

ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが1834年に銀塩を塗布して感光性を持たせた紙の上に植物標本を置きイメージを定着させた。その写真の原点となる時代に思いを馳せる。そして、写真の光との化学反応によって作り出すイメージが『光』と『影』だとすれば、目の前の現実として写し取る表象=描写としての伝統的な写真のあり方を超えたイメージを写すことができると思う。それは、タルボットが 感光性を持たせた紙の上に夢を定着させたときのように。

                                           田畑信之

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